PMPを更新しないとどうなる?費用・PDU・キャリアへの影響を2026年版で整理

PMPの更新案内メールが届いて、そのまま受信箱に沈めている。60PDUと聞いて、正直めんどうだと思っている。更新料も円安でじわじわ効いてくる。
——という状態でこのページに来た人向けに、「更新しない」を選んだ場合に実際に何が起きるのかを、PMI公式の規定にもとづいて整理します。結論から言うと、更新しない選択そのものは十分アリです。ただし判断のタイムリミットが思っているより長いという点だけは知っておいたほうが得をします。
まず押さえる: 期限を過ぎても「即失効」ではない
いちばん誤解されているのがここです。
サイクル終了日までに60PDUが揃わなかった場合、資格はすぐ失効するのではなく、まず「サスペンド(停止)」状態に1年間入ります。この12ヶ月のあいだにPDUを揃えて更新すれば、資格は復活します。
サスペンド期間中にできないこと:
- PMP保持者として名乗ること(名刺・プロフィール・スキルシートへの記載)
- PMPを応募要件にしている案件への「有効な資格保持者」としての応募
そしてサスペンドの1年が過ぎても未達だと失効します。失効すると復活の道はなく、再度の申請と試験の受け直しが必要になります。
つまり実質的な猶予は「サイクル終了から1年」。この1年をどう使うかが、この記事のいちばん大事な部分です。
「60PDU」は思ったより自由がきかない
更新の重さを見誤る原因は、60PDUという数字だけを見てしまうことにあります。実際には内訳に条件がついています。
| 区分 | 条件 |
|---|---|
| Education(学習) | 最低35PDU |
| └ Ways of Working | 8PDU以上 |
| └ Power Skills | 8PDU以上 |
| └ Business Acumen | 8PDU以上 |
| └ 残り11PDU | 上記3領域のどこに振ってもよい |
| Giving Back(貢献) | 最大25PDU(上限) |
ポイントは2つあります。
ひとつは、Giving Backは25PDUが上限だということ。実務や後進の指導だけで60PDUを埋めることはできません。最低でも35PDUは学習で取る必要があります。
もうひとつは、Education 35PDUのうち24PDUは領域が指定されていること。Ways of Working(技術)・Power Skills(対人)・Business Acumen(ビジネス)にそれぞれ8PDU以上。得意な領域だけで固めることができないので、「興味のないジャンルの講座も受けないといけない」という手間がここで発生します。
更新をめんどうに感じる正体は、たいていこの領域縛りです。
💼 ミタの現場ノート
自分もPMP保持者で、直近の更新ではPDUをUdemyで埋めました。海外の講師が出している講座で、説明がわかりやすいうえに安い。ここは正直おすすめです。
Udemyはセールの頻度が高く、タイミングを選べば1講座あたり数千円で買えます。PMP向けの講座には35時間分をまとめて扱うものが多いので、Education側の35PDUはこれ1本でだいたい片づく計算になります。「60PDU」と聞いて身構えるほどのコストにはなりませんでした。
選ぶときだけ、コースの説明欄に「PDU」または「contact hours」の記載があるかを確認してください。ここが書かれていない講座でも申請自体はできますが、内訳を自分で説明する手間が増えます。
費用: 実は「非会員のまま更新」がいちばん安い
更新料はPMI会員かどうかで変わります。
- PMI会員: US$60
- 非会員: US$150
これだけ見ると会員のほうが安く見えます。ところがPMI会員費は年US$149(+初回の申込料US$10)かかるので、更新料だけを目的に入会すると逆に高くつきます。
3年サイクル1回あたりで並べるとこうなります(1ドル155円換算・2026年7月時点のレート)。
| パターン | ドル | 円換算 |
|---|---|---|
| 非会員のまま更新 | $150 | 約23,000円 |
| 更新の年だけ入会して更新 | $149+$60=$209 | 約32,000円 |
| 3年間ずっと会員で更新 | $149×3+$60=$507 | 約79,000円 |
更新することだけが目的なら、非会員のまま$150払うのが最安です。
では会員に意味がないかというとそうではなくて、会員はPMIのeLearningやウェビナーを追加費用なしで受けられます。ここでPDUを稼げるなら、有料講座代が浮くので逆転します。判断は「PDUを有料で買うか、会員特典で埋めるか」で決まります。
なお為替は動くので、円換算はあくまで目安です。円安局面では非会員更新の$150がじわじわ効いてきます。
更新しないことの実害はどこに出るか
キャリアへの影響は、立場によってかなり違います。
フリーランス・業務委託でPM/PMO案件を取っている場合、影響は大きいです。エージェント経由の案件票には「PMP保持者歓迎」「PMP必須」の記載が一定数あり、単価にも効いてきます。ここでいうPMPは有効な資格を指すので、サスペンド中は該当しません。案件の母数が減るという形で、じわじわ効きます。
事業会社に所属していて、すぐ転職する予定がない場合、影響は小さいです。社内で「PMPを持っているから」という理由でアサインが決まる場面はそう多くありません。資格手当が出ている場合だけ、手当と更新コストを比べれば済みます。
転職を考えている場合は、ケースバイケースです。書類上「PMP取得(2021年)」と過去形で書いても、取得したという事実は評価されます。一方で、応募要件に「PMP保持」と明記されている求人では、有効でないと弾かれます。狙っている求人がどちらのタイプかで判断が分かれます。
判断のしかた: 3つ質問すれば決まる
迷ったら、この順に答えてみてください。
Q1. 今後3年のうちに、PM/PMOの案件を外部から取る可能性はあるか?
ある(フリーランス、副業、転職の可能性を含む)なら、更新しておく価値が高いです。案件票の足切りに引っかかると、単価交渉のテーブルにすら着けません。
Q2. PDUを無料または低コストで埋めるあてはあるか?
社内研修、業界カンファレンス、PMI支部のイベント、会員特典のeLearning、そして前述のUdemy。Udemyで35PDUを数千円で押さえられるなら、更新の総コストは3万円弱まで下がります。ここが見えていれば、更新のハードルはかなり低くなります。
Q3. サスペンドの1年を使って、あとから決められないか?
ここが一番のポイントです。今すぐ結論を出す必要はありません。サイクル終了後も1年の猶予があるので、その間にキャリアの方向性が固まってから更新しても間に合います。「更新しない」と決め打ちして放置し、気づいたら失効していた、というのがいちばんもったいないパターンです。
カレンダーにサスペンド終了日を入れておく。それだけで、選択肢を1年間キープできます。
PMPを活かして案件・求人を探すなら
更新して有効な状態を保つ前提なら、その価値を実際に確かめるいちばん早い方法は、いま自分の経歴でどのくらいの求人が出ているかを見てみることです。PMP保持者向けの求人は、一般の求人サイトよりエージェント経由のほうが数が出ます。
まとめ
PMPを更新しない選択は、事業会社勤めで当面転職予定がないなら、十分に合理的です。逆に外部から案件を取る可能性が少しでもあるなら、更新しておいたほうが機会損失は小さくなります。
そして何より、サイクル終了日=タイムリミットではありません。サスペンドの1年があるので、決めるのはあとでも間に合います。まずはサスペンド終了日をカレンダーに入れて、選択肢を残しておくところから始めてください。
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【出典】PMI「Continuing Certification Requirements (CCR) Handbook」/PMI「How to Maintain your PMI Certification」(2026年7月時点)
